整体師の仕事をなめてはいけない

仕事について
高野山奥之院

人様に、心から喜んでいただける。
身ひとつででき、一生続けることができる。
設備が不要、開業のハードルが低い。
仕入れも在庫も不要で、利益率が高い。
市場は無限大。

これが、整体師の仕事である。
そこに、嘘偽りはない。
「三方よし」を地でいく、本当に素晴らしい仕事だと思う。

だからだろうか。
気軽に整体師やセラピストを目指す人が、とても増えているようである。
それに呼応するように、学校やスクールも乱立気味である。
セミナーの類も、花盛りである。

試しに、googleなどの検索エンジンで「整体学校」と打ち込み、一覧を出して欲しい。
おびただしい数の学校やスクールが出現するはずだ。

しかし、甘い世界ではない。
せっかく開業しても、三年後にはその9割以上が廃業すると言われている。
この仕事だけで食べていけるのは、100人に一人いるか、いないか。
そのように言われている。

100%実力勝負の厳しい仕事、厳しい業界である。
にも関わらず、それを十分理解せずして、気軽に飛び込む人があとをたたない。
結果的に儲けているのは、整体学校ばかりである。
だから、やたら整体学校が増えるのである。

考えてみて欲しい。
100%実力勝負の世界で、身ひとつでプロとして生きていく難しさ、厳しさを。

プロのスポーツ選手になる。
プロの歌手になる。
プロのお笑い芸人になる。

それが、どれだけ難しいか、おわかりであろう。
しかし、プロの整体師になるのは、それと何ら変わらないのである。
簡単になれるわけないのである。

それを、ほとんどの人は勘違いをする。
数ヶ月、あるいは数年学校へ通えば、プロ整体師として食べていける。
そんな幻想を持っている。

甘い。
絶望的に、甘い。

だから、整体学校のよいお客さんになってしまう人があとをたたないのだ。

「何を言ってやがる、おまえだって整体を教えているじゃないか」

そのように、陰で私を批判する御仁が大勢いらっしゃるらしい。
おっしゃる通り、私はプロの整体師を育成することを生業としている。

しかし、私は嘘は言わない。
甘いこと、良いことばかり言って、整体師になることを勧めたりはしない。

自分が、散々痛い目にあっているからだ。
中途半端な覚悟なら、整体師を目指すのはやめておいた方がよいと進言する。
入門を希望されても、丁重にお断りする場合もある。
特に現在は、入門審査を厳しくしている。

しかも、私の講座へ入門して学んでも、プロとして成幸できる保証はまったくない。
本人の地道な取り組み、人並み外れた努力なくして、成幸はあり得ない。

先ほど書いたことを、思い出して欲しい。

プロのスポーツ選手になるためには、何が必要か。
プロの歌手になるためには、何が必要か。
プロのお笑い芸人になるために、何が必要か。

学校で学びさえすれば、プロになれるだろうか。
絶対になれないであろう。

学校や先生から教えられたこと。
あるいは、師匠の姿を見て学んだこと。
それらをベースに、自分でひたすら経験を重ねて、実力を磨く。
それ以外に、プロになる道はあるだろうか。

整体師の仕事をなめてはいけない。
なんとしてでも整体師として生きていきたいという強い想い、志、覚悟。
それなしに、この道に足を踏み入れるべきではない。

逆に、想い、志、覚悟があれば、必ず道は開かれる。
諦めなければ、必ず成幸する。
冒頭に述べたように、素晴らしい仕事であることは間違いがないのだから。

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