「治療院革命」を訴える治療家に対する疑問

仕事について

またまた、オヤジのぼやきのようで恐縮です。
大勢の方からひんしゅくを買い、そっぽを向かれることを覚悟で書きます。

昨日、見ず知らずの人から、Facebookの友達リクエストとともに、こんなメッセージをもらいました。

先生、こんにちは(^^)/

関西地区で治療院を20店舗ほど、経営している○○といいます。

いろいろ情報交換ができればと思っています。

FBを通して治療院業界の横の繋がりを作っていけたらと思っています。

また治療院業界向けにメールマガジンなどもしていますのでよかったら登録してください(^◇^)

http://xxxxxxx-mail.com/mm/

よろしくお願いします(^^♪

この人、私とお友達になりたいのではないことは、明らかです(笑)

さて、20店舗!すごいです!
私なんて、1店舗維持するだけで、あっぷあっぷしています。

記載されてるリンク先のランディングページを見ると、さらにすごい数字が…

スタッフ数、100人超!
総合売り上げ10億円以上!…だそうです。
すごいです!
私の百倍、働いておられるのでしょう!

さらに申せば、この人、お若いのに、かなり大きなお家に住んでおられるようです。
フットサルができるような芝生のお庭があるとか…

う~ん…でも、違う…
いろいろ、ものすごい違和感がある。
私は、この人とは、友達にはなれません。
いや、なりたくない。

否定や批判はしませんよ。
もしお目にかかったら、きっと笑顔で談笑すると思います。
でも、目指す方向、目指す場所が違い過ぎる。
だから、情報交換したいとは思わないし、語り合いたいとも思わない。

私は整体師であり、治療家ではない。
もちろん、治療家と呼ばれて恥ずかしくないだけの技量と実績は持ってるつもりです。
生涯をかけて鍛錬し、一職人として生きていきたい。
しかし、治療はしないし、治療家にはならないし、そう呼ばれたくもない。

なぜか。
治療家が増えれば増えるほど、患者が増えると思うからです。
だから、徒に治療家を増やすべきではない。
それが私の考えです。

現代人に必要なのは、治療ではない。
大半の人に必要なのは、治療ではなく、教育です。
正しいことを知ることです。

たとえ話をしましょう。

クルマが故障したので、修理工場へ持ちこむ。
みなさん、そんな感覚で、実に気軽に病院や治療院へ足を運ばれます。
整備された健康保険制度が、それを後押しします。

では、なぜ故障するのか?
私の知る限り、クルマの性能が悪いわけではない。
クルマの運転の仕方、扱い方が悪いから、故障をしているのです。

ローギアのまま、スピードを出す。
やたらエンジンをふかす。
急発進と急ブレーキを繰り返す。
ガソリンの代わりに、灯油を入れる。
やたら要らないパーツを付ける。
エンジンオイルに、ガンガン添加剤を加える。

そりゃ、故障しますわな。
でも、自分の身体にそんなことばかりしているのが、現代人です。
彼らに必要なのは、クルマの正しい運転の仕方や、正しい扱い方を教えることです。
それをせずしては、いくら修理しても追い付かない。

でも、言われるまま、求められるままに、治療をする。
その結果、日本の年間国民医療費は膨張し続け、今や40兆円に届こうとしています。
一人あたりの医療費は、50年間で100倍になりました。
それと引き換えに、日本人は格段に怠慢、かつ不健康になりました。
参考記事:みなさんに真剣に考えていただきたいこと

近代整体の父と呼ばれる偉人、野口晴哉先生は、50年近く前に、こう書かれています。

「一人一人が自分の裡なる生命の精妙な働きを自覚し発揮すれば、人の力を借りないでも丈夫になれるのです。これが整体の考え方であります」

天才的治療家であった野口先生ですが、このような考えのもと、早々に治療をやめ、半生は整体指導を手がけられていたそうです。
おそらく、今日のような状況を、危惧されたのだと思います。
野口先生の書かれていることと実践には、たいへん深く共感いたします。

だから、せめて治療院業界は、いかに縮小するかを考えねばならない。
私は、そう思います。
にも関わらず、この人は、20軒、100人、10億円と、数の大きさを訴求します。
私は、そこに最も大きな違和感を感じるのです。

少し話はそれますが…

先日、たまたまテレビを見たら、ある元宝塚トップスター(女優)の生活を報じてました。
この女優、都内に自宅がありながら、高級ホテル暮らしをしているらしい。
一泊、5万円をくだらないそうです。
取材の日の夕食は、高級鮨店で一貫数千円の握りをつまんでいました。

苦労して掴んだ地位、お金でしょうから、どう使おうと自由です。
しかし、お金の使い方は、その人の品位が顕われます。
申し訳ないけど、この女優、ものすごく下品です。
何しようと勝手だけど、テレビでその姿を晒すのは、本当に下品です。
ファンが聞くと、激怒するでしょうが…

かたや、同じ日本にいて、小学生の愛娘を惨殺されて、悲しみと絶望の底に沈む人もいる。
また、世界には、飢餓で死んでいく子どもたちや、民族弾圧や戦争で明日のいのちもわからない人たちが大勢いる。

この差は、どこから来るのだ?
この歪んだ社会は、いったいどうなってるんだ?
どうして、こんなことになるんだ?

そんなこと、考えないんですかね。
お金を儲けるのはいいけど、少しは使い方を考えろよと思う。
貧乏人のひがみと言われても、かまわない。
私は、どんなにお金を稼いでも、自分だけ良い暮らしをしていたいとは、どうしても思えない。

今回、メッセージをくれた人も、稼いだお金をどう使うのか。
人々や社会にどう還元していくのか。
理想としてどのような未来を目指しているのか。
子どもたちの子どもたちの子どもたちへ、どんな社会を遺そうとしているのか。

それを示してくれていたら、印象は違ったかも知れない。
もしかしたら、友達になれたかも知れない。

理想を描かず、未来を見つめずしてお金儲けを追うのは、たいへん危険な気がします。
その結果、今のような狂った社会ができてしまったと感じるからです。

おそらくこの人が考えているお金の使い道は、いちばんは自分が贅沢をすること。
あるいは、もっと治療院を増やすこと、稼げる治療家を増やすこと。

先ほども言ったけど、これ以上、考えもなしに治療家を増やしてはいけないと私は思う。
幸せで平和な社会を目指すなら、治療院は減らさなければならない。
そして、理想を掲げず、未来を描かず、人をお金儲けに駆り立ててはならないと私は思います。

さらには、この人、「次世代治療院革命」を標榜されています。
革命って、なに?
リンク先の文面から拝察するに、この人の革命は”永続して繁栄する治療院”を築くことのようです。
それが、革命ですか?
私には、従来路線の延長にしか思えませんが?
治療院や整体院がいらなくなる次世代を実現することが、本当の革命だと私は思うのですが…

伝えたところで、お分かりにならないでしょう。
だから、たいへん失礼かと思いましたが、リクエストは削除させていただき、メッセージも返信はしていません。
合わないと思ったら、争わず、離れる。
それが、人間関係を円滑にし、平和な社会を保つための知恵だと思います。

それにしても、この手のマーケティング手法がまだまだ通用するということは、数字の大きさに心を奪われる人が大半なんだろうな。
その割り切りや器用さが、とても羨ましく思うこともあります。
でも、私は愚鈍でも、不器用でも、どこまでも自分が正しいと思うことを実践したい。

こうやって異端で偏屈者の私は、ますます孤立していく…
それを思うと、わざわざ偏屈な私のもとへ整体を受けに来たり、整体を学びに来てくださるみなさんは、たいへん奇特です。
みなさんには、本当に感謝せねばならないと改めて思います。

私は、革命を起こそうとは思わない。
一人ひとりの気付き、自覚、実践、行動を求めたいと思います。
それが、幸せに生きる源泉だと信じるからです。
必要なのは、自然へ還っていくことだけ、本来の自分を思いだし、そこへ戻るだけ。
そして、そのお手伝いをするのが、整体師の仕事だと考えています。

最後に…

何よりも違和感を感じたのは、冒頭にあげたメッセージの文面ですかね。
いただいたのは、Facebookの個人宛メッセージです。
相手のことをよく調べもせず、画一的と思われる内容を送りつけるのは、どうなんでしょう。
効率を求めず、一人ひとりに対峙する、真心を込めるのが、私たちの仕事の基本だと思うのですが。
それとも、これがこの人の言う革命なんですかね。

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セドナ・バーシングケイブにて

整体読本「掌ひとつの革命」
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“心を使って人間という生命体を整える”、癒しの人間学「心整体法」の入門書。整体に興味がある方はもちろんのこと、生き方や働き方に迷いや悩みがある方に、ぜひお読みいただきたい整体読本です。もちろん、何をやっても治らない、頭痛、めまい、動悸、過呼吸、不眠、慢性疲労、自律神経失調症、起立性調節障害、不安障害、パニック発作、うつなど、原因不明の不快症状や心の病で苦しんでおり、わらにもすがりたい気持ちで、改善の道を探しておられる方にも、きっとお役に立てる内容だと思います。
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