サロゲート

一燈を提げて暗夜を行く

【サロゲート】

つい最近観たばかりの映画『サロゲート』。この映画で描かれた社会は、内閣府が掲げる『ムーンショット目標』が目指す社会にそっくりではないか。こんな映画が2009年に制作され、翌年には日本でも上映されていたとは、全く知らなかった。

この映画は、事故によって身体に障害を持った人や、難病で身体の自由を奪われた人たちが元の生活を取り戻すために、脳と身体機能代行を担う機械を結ぶ技術の研究開発が進められたところから始まる。

身体機能代行を担う機械は特定の部位から徐々に身体全体に及ぶようになり、人間そっくりの代理ロボット「サロゲート」が製造され、軍事利用が始まり、やがて一般利用が認められるようになった。

すると自分が理想とする姿で生活したいという欲望を持つ人たちが「サロゲート」を利用するようになり、ついには全世界の98%の人間がサロゲートで暮らす社会となったが……というお話。

現在「素顔を人に見られたくない」という理由によりマスクを外さない人が、決して少なくないようだ。そのような人たちにとっては、代理ロボットやサイバネティック・アバターによって暮らす社会は大歓迎かも知れない。

しかし、そんな社会は極めて不自然だし、当たり前のことながら、個々人が特定の者たちによって常に監視や管理され、意のままに操られる社会ともなり得る。少なくとも私は、そんな社会には暮らしたくない。

根底には、自分を受け入れることが出来ないという現代人の特質が潜んでいると思う。しかし、誰もが弱さ、醜さ、不足、欠点を持ち、それらと折り合いをつけ、助け合い、補い合いながら成長していくのが人間らしさだと私は思う。

そもそも私たちが身を置くこの世界自体が「現象界」と呼ばれる仮想現実なのである。危険で気味の悪い新技術を研究開発するよりも、命の仕組みを含めた自然界や精神世界を探究する方がずっと楽しく安全で、希望と可能性に満ちていると私は感じる。

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