【履き物を揃える】
もう30年以上前、合氣道道場に入門してしばらくした頃の話です。
道場は、公立体育館の大きな柔道場を使わせていただいていました。
ある日、道場の入り口に、50名近い道場生のスリッパが乱雑に脱いであるのに目が留まり、とても気になりました。
数日後、意を決して、師範に尋ねることにしました。
「乱雑にスリッパを脱ぐことを道場生に注意しないのですか?」
師範は、静かに、穏やかに、しかし毅然と、次のように答えてくださいました。
「履き物を揃えるのは、最低限の礼儀作法です。それを他者から注意されないとできないなら、合氣道をいくら稽古しても無駄だと思います」
私は、師範が何をおっしゃりたいかを考察しました。
玄関は、言わば道場の“顔”である。
そこを見れば、その道場の格や実力が伺い知れると言う。
下手をすると、私たち道場生の立ち居振る舞いが、師範はもちろん、道場、やがては合氣道そのものの品位を落とすことになりかねない。
西田さんは社会経験のある大人なんだから、そのくらい察してもいいと思いますよ。
うちの道場には、合氣道未経験者、中学生や小学生も来ています。
彼らの手本になるような姿勢で稽古に臨まれたらいかがでしょう。
その方が、きっと実のある稽古ができますよ。
あくまでも私の想像に過ぎないが、師範は、そのようにおっしゃりたかったのではないか。
師範は、合氣道を本当に愛しておられたし、創始者(開祖 植芝盛平翁)や先達に対して、並々ならぬ敬意を抱き、恥ずかしくない姿勢や言動を心がけておられたからです。
少なくとも私はそう感じ、身の引き締まる思いがしたものでした。
そして、この合氣道師範に教わったことの数々のことは、その後の生きる指針となりました。
残念ながら、その後、私は自らの愚行によって、師範から破門されてしまいましたが、そのことも含めて、私をご指導くださった師範には心から感謝をしています。
このことは、機会があれば改めてご紹介できれば思います。
本当に、ありがとうございました。
* * *
添付の写真は、40歳前半の頃だと思います。
全く面影ないと言われますが、入院して、体重が減り(95キロ→75キロ)、この頃と近くなりました。
* * *
退院の日程を決めました。
まだまだ身体が不自由(後遺症としての右半身麻痺)で、元の生活に戻れるわけではありませんが、皆さまのお力添えをいただきながら、今後の生き方を探ろうと思います。
スタンプやコメントなどで応援くださる皆さま、いつも本当にありがとうございます。
文章での返信は出来ませんが、皆さまのお心を感じつつ、ありがたく拝見・拝読しております。

