ある出会い

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昨日、駅前を歩いていたら、小柄な20歳前後の女の子が近寄って来て、私を呼び止めようとした。もちろん、ナンパではない。チラシかポケットティッシュを渡されるのかと思い、手で「要らない」というゼスチャーをして、通り過ぎた。

だが、あるものが視界に入った。彼女が手にしていた小さなホワイトボードに書いてあった「新型コロナウィルス」の文字だ。何を伝えようとしているのかが気になって、引き返して確認した。そこには、次のように書かれていた。
 
「私は留学生です。新型コロナウィルスの影響でアルバイトが出来なくなり、困っています。どうか助けてください」
 
そして彼女が、たどたどしい日本語で「このお菓子、買ってください」と言うではないか。よく見ると、彼女はリュックサックを背負い、大きな紙袋を手に下げ、その中に透明の袋に入ったお菓子の包みがたくさん入っていた(写真参照)。

あ、そういうことか…「いくら?」と聞くと、遠慮がちに「400円です」と。とてもその価値があるとは思えないが、思わず「買うわ」と言ってお金を渡した。「どこから来たの?」と聞くと「フィリピンです」と言う。

彼女が本当に留学生かどうかは、わからない。たとえ本当だとしても、400円のうち彼女の手元にいくら残るのかもわからない。でも、私は買わずにおれなかった。それは、どういう理由からだろうかと、後から考えてみた。

たとえ僅かでも、彼女の生活の足しになればという思いも確かにあった。それよりも、私も含めて、この理不尽で馬鹿げた騒動に翻弄され、生活を脅かされている大勢の人たちを応援したいという、漠然とした気持ちがあったと思う。

あとは、慣れないであろう異国の地で、声をかけようかかけまいか、不安な気持ちでこのアルバイトをしているように見えて仕方なかったので、たとえ一瞬であっても、ほっとひと息ついて欲しい、そんな気持ちもあった。

それにしても、いくつ売れたんだろう。フィリピン人らしい、澄んだ大きな瞳をもつ愛らしい顔立ちの女の子だった。「でへへ、おじさんがもっといいアルバイトさせたげるよ」と言い寄るスケベなオッサンにつかまらなければよいが…(そんなこと考えるオマエがスケベなオッサンやというツッコミはしないでください。重々、自覚してますので…)。

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