いのちに向き合う

一燈を提げて暗夜を行く

【いのちに向き合う】
 
いのちの重さが、とんでもなく軽くなってしまった…私は、現代の日本の社会を眺めていて、つくづくそう思う。
 
いのちより、お金が大切―――
 
だから、国は原発を動かそうとするし、戦争に向けて歩みを進めようとする。規則や常識、既成概念でがんじがらめの社会を作り、それに適合するよう、いのちを歪め、押し込めようとする。
 
毒にしかならない薬や食品添加物を、次々と認可し、社会に拡散する。マスコミを使って、巧みに私たちの欲望や恐怖心を煽り、いのちを粗末にするよう仕向ける。
 
その結果、自分のいのちに向き合えない人ばかりになってしまった。社会にはびこるいじめ、犯罪、暴力、自殺などは、すべてここに根があると私は思う。
 
心にせよ、身体にせよ、痛み、辛さ、苦しさはいのちの訴えに他ならない。しかし、大半の人はその訴えに耳を貸さず、薬ひとつで黙らせたり、身体を切り刻んで抑え込む。
 
それでも、どうにもならない人たちは、運が良ければ、整体院へやって来る。
 
しかし私は、痛み、辛さ、苦しさを簡単に消してはならないと思っている。これを機に、自分のいのちに向き合って欲しいと願い、いのちの重さと仕組みを説く。
 
幸いなことに、私の整体院にたどり着く人の大半は、最初からいのちに向き合える方であったり、私との出逢いにより、そのことに気付いてくださる方だ。しかし、残念ながら、そうでない方も、少なくない。
 
そのような人は、痛み、辛さ、苦しさを人のせいにする。だから、人に何とかして欲しい、ラクをして痛み、辛さ、苦しさから逃れたいという生き方を捨てようとしない。
 
そんな人たちに、ぜひ読んで欲しい本がある。
 
「らりるれろのまほう」
 
これは、溝呂木梨穂さんという女性の詩集である。
 
梨穂さんは、22歳。生後すぐに脳に酸素がいかなくなるというトラブルがあり、脳に重度の障がいを負い、その結果、身体の自由と言葉を失った。
 
いわゆる重度障がい者である。周囲から見たら、何も考えてない、何も感じてないとしか思われない。
 
しかし、2012年に、ある先生と出逢い、心を言葉に変える手段を得た。そして、ずっとためてきた自分の気持ちを詩という形で表現できるようになった。それを集大成したのが、この詩集である。
 
心も感情も気持ちもある。しかし、身体の自由を奪われ、言葉を発することもできないので、それが伝えられない、表現できない。それがどれほど苦しいことか、想像を絶する。
 
彼女は、約20年間、そのような状態にいたのだ。それを彼女は「煉獄の底」と表現している。
 
私は、この詩集を読んだ時、涙が止まらなくなった。身体の自由を奪われ、言葉を失い、それでも自分のいのちに向き合い、生きる意味を問い続け、ついに出口を見つけ、心からの幸せを感じている梨穂さんの魂に、自分の魂を揺さぶられたのだと思う。
 
ぜひ多くの人に、この詩集を読んで欲しい。梨穂さんの魂を感じて欲しい。いのちに向き合うとはどういうことか、自分で考えて欲しい。そして、自分のいのちを大切にして欲しい。
 
本稿の最後になりますが、この詩集に出逢うきっかけを作ったくださった梨穂さんのお母さんであるみぞろぎ 眞理さんに、心からの敬意と感謝の気持ちを述べたいと思います。ありがとうございました。
 
<追記>
下記サイトから、この詩集の購入ができます。また、このサイトには梨穂さんが最初に発表した詩である「涙のわけ」が転載されいます。ぜひこれだけでも、読んでみてください。
http://www.irukanogakko.jp/books/rarirurero/

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