少し前のことだが、ある方から以下のようなFacebookメッセージが届いた。
西田さん
もうかなり以前ですが、お友達になって頂きましたね。
でも、あれからお互いにメッセージのやりとりがありませんでした。
せっかくお供達になったのですから、メッセージの交換 しませんか?
もし宜しければ、このメッセージにOKとのご返事をくださいね。
お忙しい場合はニコニコマークでも大変嬉しいですよ。(^o^)
なんだ?この唐突で不気味なメッセージは?・・・
この方とは、確かにFacebookで友達にはなっている。
しかし、お会いしたこともなければ、いつ、なぜ友達になったのかも記憶にない。
どこで、何をしている方なのかも存じ上げない。
私自身「Facebook友達を増やさなきゃ!」と、躍起になっていた時期がある。
友達になったのは、きっとその頃だろう。
友達を増やしたいという利害関係が一致し、どちらかがリクエストをして承認した。
それだけの関係である。
それ以降、おそらくお互いに記事も読んでないし、いいね!ボタンも押してない。
コメントも書いていないし、メッセージのやり取りもしていない。
なのに、なぜこのような気味の悪いメッセージを送ってくるのか、不思議に思っていた。
すると、その数日後、別の人物から、なんと、まったく同じメッセージが届いた。
内容は、一字一句変わらない。
ご丁寧に、最後の顔文字まで同じである。
スパムかと思い、二人のタイムラインやプロフィールを確認してみた。
それぞれ実在する、別の人物であることは確かなようだ。
しかし、なぜこのような、まったく同一のメッセージを送ってくるのか。
タイムラインを読んで、その理由が何となくわかった。
この人たちは、1日30分、コピー&ペーストする簡単な作業だけで確実にアフィリエイト収入が得られるプログラムのマニュアルに則って、このメッセージを送ってきたと推察される。
そのプログラムの宣伝文句によると、開始してその月には数万円単位の現金収入が得られ、年収1,000万円も夢じゃないらしい。
う~ん・・・しかし・・・と、考え込んでしまった。
たとえそれが本当でも、私はやりたくない。
コピー&ペーストという単純作業の対価として、お金をもらうことに抵抗感を覚えるからだ。
たとえ誰かの役に立つのだとしても、情熱もわかないし、充実感も味わえない。
お二人とも、60~70代の男性。
このお二人が、どのような方なのかは、前述の通り、存知あげない。
いま非常にお金に困っていて、藁にもすがりたいお気持ちなのかも知れない。
だから、このマニュアルも、この方たちも否定はしない。
また、アフィリエイトが悪いとも思わない。
自分が心底よいと思う商品を人に勧めて、宣伝料や紹介料をいただくのはよいと思う。
真実を伝え、不必要な広告費を避けるという効用もあると思う。
しかし、大の大人が、何も考えず、マニュアル通りのメッセージを送って平然としていられることに、私は大きな違和感と危機感を覚える。
お金だけが目的の、心の通わない、うすら寒い人間関係の増殖を助長しないか。
日本人が、どんどん愚劣になっていくのではないか。
そのように懸念されるからである。
ここで、ある記事を思い出した。
少し前に読んだ「日本の学校は、考えない人間を5つの方法で生み出している」というものだ。
http://www.bllackz.com/2014/01/blog-post_16.html
その著者は、日本の学校は次の5つの方法で、考えない人間を生み出していると指摘する。
(1)暗記を押し付けて「考えさせない」
(2)苦手を押し付けて「考えさせない」
(3)制服を押し付けて「考えさせない」
(4)規則を押し付けて「考えさせない」
(5)団体行動を押し付けて「考えさせない」
至極納得できる内容である。
考えさせないという日本の教育が、何を目指しているのか。
マニュアルとは、いかなるものか。
いま、大人が真剣にそれを考えて、自分を律しなければならない時期だと強く思う。
何も考えず、言われた通りのことをやってお金が手に入れば、幸せだろうか。
そんな生き方、働き方が、楽しいだろうか。
心の通わない人間関係を紡いで、そこから収入を得て満足だろうか。
このビジネスについて、ぜひじっくり考えてみていただきたいと思う。
その上で、もし私をお誘いいただくなら、ぜひ心と言葉を尽くして欲しいと思う。
自分で考え、自分の言葉で誘って欲しいと思う。
アフィリエイトをやってもいい。
マニュアルに従って仕事を進めるのもいい。
しかし、考えることを止めてはならない。
心を捨ててはならない。
こんなことを言う私は、ただのうるさいオッサンだろうか。