「処(ところ)を得さしむる」
この言葉は「活躍の場を得るようにする」ということで、本来の役目がきちんと果たせるように応援するという意味だそうです。
これは、古事記に書かれた、国作りの理想だそうです。古事記とは、申し上げるまでもなく、現存する日本最古の歴史書と言われています。
合気道開祖である植芝盛平先生は、「合気道とは古事記一巻を体で表わすことである」とおっしゃったそうです。開祖は、古事記に書かれた古代の国作り「自然の営みに逆らわず、天地の心と一体となって、山野の恵みを育て、人の生かし方を苦心し、共に栄えることを図る」を実践することこそ、合気道が真に目指すところだとおっしゃりたかったのではないか。
昨日、立ち寄った書店で、たまたま手にとったこの本。それに、以上のようなことが書かれていました。
著者の一人は、合気道親和館館長である井上強一先生です。井上先生は、塩田剛三先生の直弟子であり、二代目の養神館館長を務めた方でもあられます。いよいよ円熟の境地に達せられた井上先生が、開祖のおっしゃったことを改めて紐解こうと試みられたのが、この本だと思います。ぜひ多くの方にお読みいただきたい良著です。
自分がなぜ合気道に出逢い、その修行に励むのか。それが、さらに明確になったように思います。「処を得さしむる」とは、愛そのものであり、私が整体の施術や指導を通じて実現したいことそのものでもあるからです。
偶然手にした本ですが、読んで本当によかったと思います。