父の人生、私の人生、その狭間で思うこと

私について

「今朝から、お父さんが行方不明です」

父が入居している施設(サービス付き高齢者住宅)から連絡があったのは、一昨日の朝8時過ぎであった。

今年の5月に、母が亡くなった。
表には出さないが、父にとって、計り知れないほどの衝撃だったのだろう。
一気に、いわゆる認知症状が進んだ。

自宅での単独生活が困難になり、本人同意のもと、施設に入居させた。
それが6月のこと。

入居後1〜2ヶ月は、終日、寝たきりだった。
父はもともと、人付き合いや人との会話が苦手で、感情をあまり表に出さない人だった。
抱えきれない悲しみや寂しさを、寝て癒す以外なかったのだろう。

数ヶ月かけ、できる限りの手を尽くし、ようやく新しい生活に慣れ始めた。
一昨日は、そんな矢先の事件だった。

これまで、単独で施設の外へ出ることは皆無だった。
もともと出不精だったことに加え、寝たきりの生活で、すっかり運動機能が衰えてしまったからだ。
なので、油断をしていた。

一体、どこで何をしているのだろう?
倒れていないか?
車にはねられていないか?

大きな心配と後悔で、胸を締め付けられる思いだった。

数名、セッションの予約日時を変更してもらい、捜索に出かけた。
2時間ほど、心当たりのある場所を探した。
途中、いろんな想いが溢れて来て、涙が止まらなくなった。

見つからず、時間切れとなった。
仕方なく職場に戻り、2名のセッションをこなした。

施設においても、事業所ネットワークを利用しながら、捜索に全力を尽くしてくださったようだ。
だが発見できず、警察に捜索願を出しましたとの連絡があった。

もう12時、すでに4時間が経過している。
とにかくもう一度探しに行こう、そう思ってトイレに入り、出て来たら…

森 亜紀子に支えられ、ヨタヨタ歩く父がいるではないか!

彼女が、ガラス越しに、職場前の道路を危なげに横切ろうとしている老人を発見。
もしやと思い、思わず職場を出て、駆け寄ったらしい。

「ああ、しんど、やっと着いたわ」

そうあっさりと言う父。
足元は、靴ではなく、部屋ばきスリッパのままだ。
施設から職場まで数キロの距離を、このおぼつかない足取りで歩いて来たのだろうか。
それも、4時間もかけて…

安堵に加え、いろんな気持ちが交錯し、思わず号泣してしまった。
しかし、父は、そんな私を不思議そうに、ポカンと口をあけて眺めている。
左手は、なぜかトイレットペーパーの芯を握り締めている。

父によると、今朝、トイレットペーパーのストックがなくなったとのこと。
たいへんだ、何とかしなければと思っているうちに、私の職場へたどり着いた、らしい…

一体どんな思考回路なのか、理解が難しい。
しかし、父には父の真実があり、思いがあるのだ。
それに寄り添うしかない。

昨日は、長男が休みを取り、父との面会に同行してくれた。
一昨日のことはすっかり忘れ、いつになく嬉しそうな父の姿を見ていると、複雑な気持ちになる。

間も無く、90歳になる父。
母が亡くなったことさえ忘れている父に、どう向き合えばよいのだろう?
自分の仕事や生活を維持しながら、父に対し、何ができるだろう?
悩み、迷い、時に苦しみながら、手探りをする毎日…

私は、父が大好きだ。
その気持ちを拠り所に、共に歩み続けること。
最後まで、寄り添い続けること。

いついかなる時も、人生とは豊かな学びの旅なのだとつくづく思う。

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掌ひとつの革命
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