原爆の日に思ったこと

社会について

昨日8月6日。申し上げるまでもなく、74年前のこの日、広島に原子爆弾が投下されました。極めて非人道的で、残酷かつ理不尽な化学兵器による攻撃を受け、おびただしい犠牲者を出した我が国は、永久に戦争を放棄することを誓いました。戦争や原爆の被害の甚大さは口伝をはじめ様々な手段や媒体で伝えられており、多くの日本人は憲法条文の有無に関係なく、本能的に「二度とあの悲劇を繰り返してはならない」と心していたはずです。
 
それにも関わらず、現在この国は粛々と戦争への歩みを進めています。その足音に気付かない人たちもたくさんいる一方で、この歩みを「仕方がない」と容認したり、中には肯定さえする大人が少なからず存在することに、私は驚きを隠せません。
 
「自分の身は自分で守るべき」———— 戦争を容認したり、肯定する人たちは、それが主張の根幹ではないでしょうか。それはある意味当たり前のことであり、現代のような物騒な社会においては、私のような、穏やかで、争いを好まない臆病な人間であっても、有事の時は自分や大切な人を守れるよう、武術の研鑽を重ねています。しかし、少し考えればわかることですが、個人間の争いや護身と、国家間の大量殺戮兵器を使用する戦争は、断じて同じレベルで考えてはならない問題です。
 
個人どうしで暴力による格闘があったとしても、怪我をしたり、最悪の場合死亡をするのは、本人たちだけです。しかし、戦争は違います。多くの人々の自由と尊厳と命を奪います。国や町や文化を破壊し尽くします。適切な例ではないかもしれませんが、個人どうしの格闘と、ウルトラマンと怪獣の格闘は、その影響範囲がまったく異なります。子どもであってもわかることが、どうして大人に理解できないのでしょう。
 
何よりも、74年前の原子爆弾と比較して現在の核兵器は、その後の技術革新により、性能や破壊力が桁違いに強大になっていることは、容易に想像できると思います。74年前でも、おびただしい数の命を奪い、あれだけ甚大なる被害をもたらしたのです。万が一、最新鋭核兵器がたとえ1基でも使用されれば、地球は生物が住めなくなる星になるのではないでしょうか。そのようなものが「抑止力」になり得るでしょうか。人類の素晴らしい叡智と莫大なお金、そして貴重な時間と労力は、もっと別のことに費やすべきではないでしょうか。
 
武力や威嚇で真の平和が訪れることは、絶対にあり得ません。人は必ず自分が与えたものを受け取るからです。暴力には、暴力が返ってきます。憎しみには、憎しみが返ってきます。それがこの宇宙を貫く絶対不変の法則ですが、戦争を肯定する日本の大人たちは、人生経験を積む中で、この法則を学ばなかったのでしょうか。もしそうだとしたら、まことに気の毒なことであり、同時に極めて恐ろしいことでもあります(そんな大人たちが国の中枢に鎮座し、その座を降りることがないのですから、本当に恐ろしいことです)。
 
そもそも近代における戦争とは何か。私たちはそれを知る必要があります。戦争とは意図して作り出されているものであり、お金の流れを追えばその事実が明白になります。そして、私たちの大半が直接間接にそこに加担していることに気付き、愕然とすることでしょう。国益の対立や価値観の相違が戦争を招いているという考えは、あまりにナイーブです。もしそうであるとしても、暴力でねじ伏せるのではなく、話し合いで解決を図るのが、真の意味での先進国のあり方ではないでしょうか。そして、それができる人間力を磨くことこそが、私たち大人がすべきことだと思います。
 
現在、人類は、大きな岐路に立っていると思います。地球が、16,000年に一度の大転換期を迎えているという説もあります。特に日本は、今の価値観や社会のあり方のまま進めば、2050年には間違いなく世界最悪の犯罪大国になるというAIによる予測さえあるそうです。どのような未来を切り拓くのか、子どもたちの子どもたちの子どもたちへどのような社会を残すのか。一人ひとりが深く考え、意識と行動をシフトさせる必要があると思います。
 
かつて、一万数千年にわたり、自然と共生しながら平和な社会を営んでいた、日本人のご先祖様たち。それほど遡らずとも、つい150年前までは、日本人は高い霊性と人間力を備え、世界中が羨むような理想郷を築いていたのです。だから、現代を生きる私たちであっても、間違いなくご先祖様の遺伝子が残っているはずです。それを目覚めさせ、もともと備える霊性の高さを取り戻せば、日本人は世界を真の平和へと導くリーダーたり得る民族だと思います。そして、それは決して難しいことではないと、私は大きな希望を持っています。「一灯照隅、万灯照国」の精神で、武術と整体という小さな分野ではありますが、地道な取り組みを続けて行きたいと改めて強く思った次第です。

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