完全版「本物の自分に出会う」ゆる身体論

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以下、本文より引用、転載。

はじめに いま必要なのは「ゆる思想」

●兵法の奥義と幸福論
宮本武蔵の「五輪書』には、「ゆるむこと」が兵法の根本をなす原理であることが、明確に説かれています。そのことは「五輪書』の基底を語る「地之巻」の次の一節「水を本として、心を水になる曲」に集約されているとともに、「水之巻」の一節「心を静かにゆるがせて、地ゆるぎのせつなも、ゆるぎやまぬやうに」をはじめとして、「五輪書』全編の中で10ヵ所以上にわたって、記されています。
おそらくは日本の武術史上、もっとも人を斬ることの強さを究めようとしたであろう剣客の兵法の根底が「ゆるむこと」であることは、多くの読者に驚きをもって迎えられることでしょう。
そして他方、フランスの教育家、思想家であるアランの『幸福論」。多くの断章に通底する論旨を読み解いていくと、アランは幸福の根底をなす原理として「ゆるむこと」を語っていることがわかります。幸福の要素となりうる外的要素も、人間関係や心や身体の問題のような内的要素も、「ゆるむこと」なしには幸福の要素として完全には機能しえない、ということなのです。
武蔵とアラン、『五輪書』と「幸福論』、およそかけ離れた両思想の根底をなす原理が、同じ「ゆるむこと」というのは一体どういうことなのでしょう。それは、兵法も幸福もすべては人間という事象の具体的部分に過ぎず、それらには共通する深い本質があり、それが「ゆるむこと」だということを示しているのです。
しかし多くの人々にとって、「ゆるむこと」が人間の深い本質であるといわれても、にわかには受け入れがたいことでしょう。では人間にとって「ゆるむこと」とは、一体いかなる深層に由来するものなのかを見ていきましょう。

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