【整体院での改善事例】過敏性腸症候群(日本に1,200万人!)

仕事について

本日は、過敏性腸症候群の改善事例をご紹介したい。

過敏性腸症候群の患者は、日本に約1,200万人いるとされている。20~30代の若年層に多いと言われているが、最近は低年齢化しているようだ。本稿で紹介するのも、高校2年生の男子だ。この改善事例は、同じ症状で苦しむ人に、大きな希望をもたらすことと思う。

過敏性腸症候群とは

まず、過敏性腸症候群とはいかなる症状か。以下、あるサイトから引用する。

「過敏性腸症候群(IBS)」は、おもにストレスに起因して、下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患です。大腸がんや潰瘍性大腸炎などは血液検査や大腸内視鏡検査などで腸に異常が認められますが、IBSは、検査でそうした異常はないことが確認されたうえで、症状が続く場合に診断されます。
日本人のおよそ7人に1人がIBSに当てはまると推定されており※、30代より若い年代に比較的多くみられる傾向※があります。重症の場合は、トイレの問題で学校や会社に行けなくなったり外出を控えるようになったりするなど、生活の質を低下させることが問題になっています。

http://ibsnet.jp/geri/より引用

簡単に言うと、原因不明の腹痛である。検査をしても異常が発見されないので、病気とは認められにくい。しかし、思春期の子どもは、場合によっては学校へ行けなくなるほど重症化する。起立性調節障害と同様、私の整体院では相談が多い症状である。

発症の経緯

まず、この男子(仮にAくんとする)がたどった経緯をご紹介する。

来院の約1年前、5月のゴールデンウィーク明けのこと。当時、高1だったAくんは、学校へ行けないほどの腹痛に見舞われた。以来、腹痛が毎日続くようになった。下痢をして、トイレに長時間こもることも多くなった。

近所の内科医を受診したが、原因がわからなかった。総合医療センターへ行き、さまざまな検査をしたが、異常は発見されず、「過敏性腸症候群」と診断され、漢方薬や整腸剤を処方された。

それと並行して、心療内科の思春期外来も受診した。ここでは、抗うつ剤を処方された。

以来、まったく学校へ行けなくなった。3学期に、約一週間だけ何とか学校へ足を運び、2年生に進級はできた。しかし、それ以降も状況は変わらなかった。母親が他に改善の方法がないかを探し求め、心身楽々堂を見つけ、問い合わせる。

来院時の状態

痛むのは、主に下腹部。痛む箇所は日によって異なるが、痛みの種類は同じ。朝、痛いことが大半。夜、遅い時間は、痛みが軽減することが多い。受験前は、頭痛があった。

とても真面目な青年という印象。ずっと野球をやっていたそうで、本来は快活な青年なのだろうと思う。過敏性腸症候群は、仮病を疑われたり、心の弱さが指摘されることも少なくない。しかし、彼に限り、そんなことはあり得ない。今は、伏し目がちで、口数も少ない。よくならない原因不明の腹痛に、心底悩んでいるに違いない。

見立てと方針

Aくんは、地元でも有名な進学校に通っている。受験勉強は、かなり頑張ったようだ。この時のストレスが、大きく影響していると考えられる。

腸は、独自の神経ネットワークを持っており、「第二の脳」とも呼ばれる。そのため、脳からの指令が無くても、独立して活動することができる。一方で、腸は自律神経、ホルモンやサイトカインなどの情報伝達物質を媒介にして、脳と双方向の生体ネットワークを形成している。これを、脳腸相関と呼ぶ。

過敏性腸症候群は、これらのバランスの乱れから生じると私はみている。つまり、知覚過敏や過剰反応の結果、痛みや下痢が発生する。バランスの鍵を握るのは自律神経だと考えており、それを整えることで、腸は本来の正常な働きを取り戻すと予測をした。

自律神経の乱れは、骨格筋の過疲労と過緊張が大きな原因となる。当院の整体施術によってそれを取り除くことにより、過敏性腸症候群は改善できると考え、Aくんとお母さんに、継続して施術を受けるよう提案した。

改善の経過

実は、患っている期間が1年以上という、重症化した過敏性腸症候群を診た経験はない。パニック障害や慢性頭痛などの副症状として、腹痛を訴える方は多いのだが。腸もみ整体の併用も考えたが、腸そのものより、自律神経不調がより大きな原因だと考え、整体施術一本でいくことにした。

1~5回目

初期は、3日~1週間おきに来院してもらい、施術をおこなった。最初の3回目までは、ほとんど変化がなかったが、4回目来院時に「下痢が少しマシになった」との報告を受けた。また、痛みの強さが軽減しているとのことであった。

6~10回目

この間は、だいたい1週間に1回の施術であったが、一進一退を繰り返した。マシな日もあれば、痛い日もある。また、夜に予約することが大半だったが、直前に来れない日も数日あった。10回目来院時に、初回より約1か月半が経過。この時点で、継続して施術を受けるかどうか、意思確認を行った。私は、この調子でいけば、必ず改善されると思ったので、継続通院を勧めた。本人にも、少しずつ改善しているという自覚があり、継続して施術を受けることに同意してくれた。

10~15回目

15回目までは、だいたい1週間~10日に1回のペースで施術。この間も一進一退だが、本人も全体としてはよくなっているという自覚を持つ。

16~20回目

16回目の来院時に、下痢がなくなったと報告を受けた。それ以降、2週間おきの通院とする。18回目の来院時に、痛みがかなり軽減していると報告を受ける。本人も、明らかな改善を自覚。3週間後、19回目の来院時に、痛む頻度が、かなり減っていると報告を受ける。下痢をすることもあるが、何日も続くことはないらしい。また、新しい学校を探し、説明会を受けに行くとの報告も受ける。20回目の来院時、この間、腹痛はほとんど起こっておらず、下痢もないとの報告。新しい学校も決まり、通学を開始したとのことであった。通学で忙しくなることも予想されるため、20回目でいったん終了とする。3週間様子を見て、不調を感じない場合は、来院不要と伝えた。

総括と所感

ほぼ完治までに、約6ヶ月を要した。なかなか変化が出ず、一進一退を繰り返し、緩慢な改善であった。しかし、それが自然治癒の特徴である。

そのことを、本人と母親に理解を求め、「待つ」ことの大切さをお伝えした。なぜなら、将来ある成長期のお子さまだからである。時間はかかるし、苦しいかもしれないが、身体のことを思えば、自然治癒がいちばんである。それに、これを乗り越えることが、生きる自信に結びつくかも知れない。

ありがたいことに、この親子には、私の気持ちが伝わった。あきらめずに、通い続けてくださった。だからこそ、一年以上にわたり苦しみ続けた過敏性腸症候群を克服できたのだと思う。

せっかく受験して合格した高校を去ることに、苦しみもあっただろう。しかし、彼は、積極的に新しい学び先を探し、力強く再スタートを切ろうとしている。そのことも、本当に嬉しかった。彼の有意義な高校生活と、明るい未来を願わずにはおられない。

冒頭で述べた通り、過敏性腸症候群で苦しむ人は、日本に1,200万人もいるのだ。その人たちが、根治に向けて歩めるよう、心から願う次第である。今回の事例で学んだことを、さらに深め、多くの方々のお役に立てるよう、精進を重ねる所存である。

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