父はどこへ帰りたいのか

「こんなとこ、嫌や」
「帰りたい」
「連れて帰ってくれ」

施設にいる90歳の父が、たまに、そう言う。
時に、激しい口調で。

どこへ帰るつもりなのか。
どこへ帰りたいのか。

昨年、母が亡くなったこと。
もはや、それさえ忘れている父。

当初は、理解させようとした。
わからせようとした。

しかし、それは無理とわかった。
現実を知ることがいいとは限らないと思った。

施設を探し、入居の段取りをしたのは私だ。
これでいいのか、何度も自問した。
人にも相談した。
その上で、最善の選択をしたつもりだ。
でも、今も、施設にいる父を訪ねると、心が痛む。

この半年で、認知症状がさらに進んだ。
これまでの施設では、対応が難しくなった。

父の尊厳を守りつつ、安全に、穏やかに過ごすには…
昨年末から、ずっと考えていた。

今日、父は新しい施設へ移る。

〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜 * 〜

介護サービスや施設は、待機者が多いと聞いていた。

希望しても、すぐに受けれない、入居できない。
下手をすれば、半年待ち、一年待ち。
複数の人からそのように聞いていたし、地域の支援施設からもそのように言われていた。

しかし、私たちは、非常に幸運だった。
待つことなく、サービスを受けたり、入居ができた。
今回も、そうだった。

また、父は、この半年で2回、行方不明になった。
いずれも、怪我もなく、無事に保護された。

亡き母が見守ってくれている、助けてくれている。
そうとしか、思えない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUTこの記事をかいた人

1960年、大阪生まれ。2008年、47歳の時に、突如、24年間勤務した会社を辞し、整体師に転身することを決意。多額の住宅ローンを抱え、当時高一と中二、二人の息子がいる身で脱サラし、未経験の仕事で起業するなど狂気の沙汰と、周囲の誰もが猛反対する。しかし、耳を貸さず、整体院の独立開業を断行。案の定、失敗、挫折、絶望の連続で、辛酸をなめ尽くすが、ぎりぎりのところで踏み止まる。修得した整体手技療法を基盤に、合氣道修行で得た心身修養の精髄を加味した「心整体法」を着想。病院で治らない慢性疾患や自律神経失調症専門の整体院という独自路線を歩み、自力で整体院経営を軌道にのせる。組織に依存せず、束縛されず、自分の良心や信念をいっさい曲げることなく、己の身一つでサラリーマン時代を大きく超える収入が得られることを証明する。その経験を生かし、脱サラ・起業に特化した整体塾を主宰。まったくの未経験者を「オンリーワンの整体師」に育てあげることについては、日本一の手腕を持つ。これまでに、50名を超える整体師を輩出。現役の整体師を続けながら、大阪府枚方市、千葉県船橋市を拠点にして後進を育成。また、各地で一般の方に向けたセミナーや体験会を開催し、「心整体法」を伝えている。