なぜ整体に興味をもったのか

仕事について

昨日に引き続き、脱サラして起業した当時のことを振り返り、綴ってみようと思います。
 
私は、サラリーマン時代、整体にはまったく興味も関心もありませんでした。自分で整体を受けたこともないし、整体を職業に選ぼうなど、微塵も思っていませんでした。むしろ、何となくですが、医務服を着て医者のふりをして女性の身体に触れるいかがわしい仕事、そんなイメージすらもっていました(実はそのイメージは、今もあまり変わっていません。だから絶対に医務服やそれに準ずるものは着ません)。
 
では、なぜそんな私が整体に興味をもったのか。それは、私が最初に出会った整体(もちろん今も手がけています)が、とてもやさしかったからです。まるで、生まれたての赤ちゃんに触れるような接触、揺らし方…そこには、深い思いやり、温もり、安らぎがありました。そんなやさしい整体なのに、病院や他の整体院ではよくならない痛みや症状がどんどん改善する。たくさんの実績がある。これは本当に素晴らしいと感じました。
 
ところで当時、その10年ほど前から、合氣道の稽古をしていました。合氣道開祖は「合氣は愛である」と喝破し、合氣道を世界和合の道と位置付けていました。また「最高の合氣道技とは、自分を本気で殺しに来た相手と、肩を並べて仲良く語り合うことだ」と、開祖の高弟である先生がおっしゃっていました。わずか10年ですが、合氣道の修行を積み、三段を認めていただいた私は、それらは綺麗事ではなく、極めて現実的なことであり、これからの社会にとても必要なことだと感じ始めていました。
 
私が出会った整体は、その合氣道と、とても共通点があると直感したのです(今では、いずれもルーツは日本古来の武術だと確信をもっています)。それを確かめるために、私は二日間で50万円という高額技術セミナーに参加しました。そこで、のちに師匠となる人物(故人)に出会い、その人に触れることにより、直感が確信に変わりました。そして、生涯をかけて、この道を歩みたいと強く思ったのです。
 
現代社会に最も足りないもの。それは「愛」だと、私はサラリーマン時代から感じていました。それがどんな仕事であれ、そこに愛が無ければならない。ネジ釘のような小さな部品を作る仕事であっても、チラシを作る仕事であっても、ビルを掃除する仕事であっても、トラックを運転する仕事であっても、最先端のコンピュータープログラムを設計する仕事であっても、そこには愛が必要だと考えていました。
 
しかし、現実社会でそんなことを言うと「寝言」か「綺麗事」として切り捨てられます。重要なのは「もうかるか、もうからないか」。規模拡大と効率向上がビジネスの至上命題であり、愛などどうでもいいもの…それは私にとって、とても辛いことでした。だから、最前線から離脱しました。
 
私は、そんな愛のない社会のあり方が、戦争、テロ、暴力、政治や企業の汚職や不祥事、殺人や自殺、イジメや差別など、いろんな問題を引き起こしていると感じていました。だから、せめて自分だけは愛をもって仕事をしたい。そう願うのですが、サラリーマンである以上、それは不可能だと見限っていました。そんな時に、この整体に出会い、愛をもって仕事をすることが、この社会においても可能なのだと知りました。その気づきを得た時、私は師匠(当時は整体学校の副学院長)の手を握り、号泣をしていました。「やっと出会えた」と…
 
生まれたての赤ちゃんに触れるような、やさしく、繊細な整体。痛みや病気と戦わず、尊重し、調和する整体。どこまでも命の力を信じる整体。経験を積むことにより、自他の成長につながる整体。整体の修行を積むことは、合氣道の修業ととてもよく似ています。双方とも、愛を学ぶことに他ならないと感じるからです。しかも、それが生業として成立するなら、こんなに素晴らしいことはない。だから、一人でもたくさんの人に伝えたいと考えているのです。
 
以上、原点に還る意味で、綴ってみました。

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