戦争、テロ、犯罪、暴力、難病奇病、いじめ、引きこもり、自殺、環境汚染、自然破壊など、あらゆる社会問題の根底にあるもの。それは「命の軽視」です。そして、命が軽視される最大の原因は、「霊性の忘却」もしくは「霊性の劣化」ではないかと考えています。
霊性とは、文字通り“霊的な性質”です。少し表現を変えれば“霊を感知する性質”と言えるでしょう。霊は目には見えませんので、残念ながら、その存在を否定したり、怪しいと疑念を抱く人が大半だと思います。しかし、そのことが、あらゆる社会問題を生じさせているとさえ、私は感じています。
霊性は、間違いなく、全ての人間が必ず備えているものです。なぜなら、私たち人間の本質は霊だからです。私たちの本質は、霊界からやって来て、また霊界へ帰っていくものなのです。このことは、最先端の量子物理でも説明ができる、厳然たる事実のようです。
私が敬愛してやまない人物の一人である、ロバート・C・フルフォード博士(米国のオステオパシー医師、故人)は、その著書「いのちの輝き」の中で、霊性について次のように述べています。
「霊性とは不完全な世界にあって平和と幸福を見いだす能力のことだといっていい。それはまた、自己のパーソナリティの不完全さを理解し、それをそのまま受容することでもある。理解し、受容したときのこころのやすらぎから、創造性と利他性に生きる能力が生まれてくる」
つまり霊性とは、自分を大切にし、それと同様に他のあらゆるものを大切にし、思いやる性質(心)。そう表現してもよいと思います。それであれば、否定したり、疑念を抱くことなく、受け入れることができる人も多いのではないでしょうか。
霊性とは、愛と光と調和です。この霊性を取り戻し、高めていくこと。それが、整体という営みの究極の目的だと私は考えています。症状、痛み、病気の治癒は、とても重要なことではありますが、その一つの結果であり、一過程に過ぎないと私は考えています。少なくとも私は、そのような整体を実践しています。
霊性を取り戻し、高めていくことは、真の癒しでもあります。自分を癒し、他者を癒し、社会を癒していくこと。それは、様々な社会問題が露呈し、膨大な数の命が苦しみ、先が見えない現代社会において、最も必要なことだと考え、このような整体のあり方を提唱し、一緒に取り組んでくれる仲間を求め続けています。