私が敬愛する人物の一人、神田昌典さん(マーケッター、経営コンサルタント)が自著「60分間・企業ダントツ化プロジェクト」の中で、次のように述べておられます。
「ビジネスは、単なる金儲けの手段ではない。この現代で、社会を変革する最強のツール。それがビジネスなのである。(中略)われわれは、いつの間にか、ビジネスには哲学が必要であることを忘れてしまった。歯車を組み合わせれば、誰でも売れる仕組みはつくれる。それは難しい作業ではない。しかし、その歯車は人類を破滅させるために使うこともできれば、次の世代に誇れる世界を残すためにも使うことができる。いまの社会は、確固たる倫理観と思想を持ってビジネスに取り組む人を大量に必要としている。それだけ社会の変革が急がれている。いったいその変革は誰が起こすのか?答えは明らかである。鏡の前へ行けば、答えがわかる。鏡に映っている人物。その人物こそが、社会を変革する原動力なのである。(中略)あなたにしか、できないことがある。だから、あなたはこの時代に生まれてきた」
現代社会には、哲学のないビジネスが横行しています。企業やそこに勤務する人たちはもちろんのこと、自由であるべき起業家たちでさえ、価値基準をお金におき、お金を得るためだけに血眼になっています。アマゾンの先住民族カヤポ族はお金を「piu caprim(=悲しい葉っぱ)」と呼んでいるそうです。彼らが危惧する通り、悲しい葉っぱは、人類を破滅させるために猛威をふるっているように、私には見えます。
一方で、現代日本には、働き方、生き方に迷い、悩み、苦しんでいる人が、膨大に存在します。毎日、ワクワクしながら職場へ向かう人が、どれだけ存在するでしょうか。大半の大人が、嫌悪感を抱き、憂鬱な気持ちで、己を虚しくして、満員電車に詰め込まれ、それぞれの職場へ向かっているのではないでしょうか。その姿は、強制労働を課された奴隷に近いとさえ感じます(“社畜”という呼称もあるそうです)。
その結果、健康を損ね、心を病み、自分を見失い、耐えきれなくなった人は、薬物に頼ります。その場しのぎの刹那の逃げ場に身を委ね、やがて中毒患者となります。そこから抜け出すのは至難の業であり、化学物質による精神錯乱や体調悪化により、自他を害する人も、決して少なくありません。また継続的な薬物摂取は、認知症状の大きな原因となっています。
日本の年間医療費は、42兆円だそうです。それだけ莫大なお金を使っているにも関わらず、どうして病人や寝たきりのお年寄りが減らないのでしょうか。それは、医療が倫理観と思想を置き去りにした、お金目的の巨大ビジネスになっているからに他なりません(先住民族の中には、伝染病以外の病人や、認知症や寝たきりのお年寄りもほとんど存在しないそうです)。
命よりもお金が大事にされるこの異常な社会に、未来はありません。神田さんがおっしゃっている通り、社会の変革が急がれています。しかし、社会の変革を政治家に求めるのは、間違いです。もちろん、政治に関心を持ち、権利を行使することはとても大切ですが、それは国民一人ひとりの自覚と自立と自由があってこそです。本来、政治家は、私たち国民に仕えるべき存在だからです。
いずれにせよ、多くの命が泣いています。多くの魂が、その表現の場や手段を失い、行き場がなく、苦しんでいます。その状況から抜け出し、命のために命を尽くす道として、私は「職人×起業家」という生き方を選択し、実践し、そして提案をしています(私自身もかつて“社畜”としての生き方に、心底苦しんでいました)。
器具も機器も使わず、己の身ひとつ、掌ひとつで、命の力を呼び覚まし、高めていく。そのために、日々、己の技と心を磨き、研ぎ澄ますことに全身全霊を傾ける。そんな職人としての生き方を実践するとともに、社会に影響を与え、自分たちの思想や実践を広めていく起業家として生きていく。私は、この生き方に心からの喜びを感じています。そして、そこに、明るい未来へとつながる道を見出しています。
このような「職人×起業家」という最高の生き方を、心ある方と分かち合いたいと願い、独自の講座を開講しています。閉塞感に満ち満ちたこの社会を変革し、子どもたちの子どもたちの子どもたちへ、誇れる世界を残したいと心から望み、自らの身を呈することのできる稀有な人財とめぐりあいたいと、切に願っている次第です。