母と子の関わりを考える

社会について

私の整体院の道路をはさんだ向かい側に、保育所があります。毎朝、たくさんのお母さん方(一部はお父さん)が、お子さまを送って来られます。お母さんと離れたくないのでしょうか、時々、大泣きしている子どもの声が聞こえて参ります。
 
子どもが泣いている姿を見ると、胸が締め付けられます。思わず、その子を抱きしめたくなります。だから、保育所の朝の風景を見るのは、ちょっと辛いこともあります。子どもが幼い頃は、できる限り、お母さんには子どものそばにいてやって欲しいと、まことに勝手ながら思います。
 
お母さん方にしてみれば、自分にも夢や、やりたい仕事がある。あるいは、働かなくては生活ができない。せめて昼間だけは、子育てのストレスから解放されたい。いろんな事情や想いがあることと思います。男のあなたには到底理解できないと言われれば、それまでです。
 
しかし、お母さんは、世界一尊く、大切な仕事だと私は考えています。特に幼い頃に母親が子どもにどう関わるかは、その子の人格や将来に大きな影響を及ぼすと思います。そして、それは、将来の社会に大きな影響を及ぼすと同義ではないかと思うのです。
 
だから、当時の妻には、せめて子どもたちが幼稚園に行くまでは、働きには出ず、子どものそばにいるよう頼みました。その頃は、男性に対する育児休暇が一般的には認められていませんでしたので、私は早朝に会社へ出勤し、できる限り定時に仕事を切り上げ、幼い彼らが起きている時間に帰宅するようにしていました。
 
職場の上司や同僚からは「マイホームパパ」と揶揄されましたが、やることやってるのだから知ったことではない。乳児の頃から、息子たちを風呂に入れるのは、私の重要な役割でした。また、家にいる時には、息子たちとよく遊びました。一緒に寝て、絵本を読み聞かせることもありましたし、休日にはレゴブロックで夢中になって遊びました。
 
でも、それらは、妻のためでも、息子たちのためでもなく、何よりも自分のためでした。幼い彼らと一緒に過ごすことが、当時の自分にとって最大の安らぎの時間だったからです。特に、30代半ばから仕事のストレスで心を病み始めたので、彼らがいなければ私はどうなっていたか、わかりません。
 
少し話が逸れました。さて、先住民族や伝統生活を継承している民族などの生活を観察していると、子どもが乳児や幼児の頃は、母親と肌を離すことがほとんどないそうです。また、母親だけでなく、コミュニティ全体で子どもの世話をするという風習があるそうです。その結果、子どもたちは10歳頃には心身ともに自立が可能になるそうです。
 
現代日本の社会の停滞や閉塞感、異常極まりない状況は、母親と子どもの関わりが希薄になったことが、無関係ではないと私は考えます。もちろん女性だけの問題だけでなく、そこに男性としてどう関わるかということも、非常に重要であることは申し上げるまでもありません。
 
幼い子どもにどう関わるかは、整体という営みを生業とする上で、避けて通れない問題だと感じています。なので、女性や母親の個体としての心身の健康を守るのはもちろんのこと、社会全体を見渡して、何をすべきかを考えねばならないと強く思います。そのために、より様々な取り組みを行って参りたいと考えています。
 
ちなみに私の母(故人)は、生涯において一度も外で働いたことがありませんでした。主婦として、母親として、一生涯、家族や子どもに尽くしてくれたのです。生前、母はそんな自分を卑下するような言葉を漏らしたこともありましたが、亡くなる直前に、病床で「最高の人生やった」と言ってくれました。母には、いくら感謝をしても、しきれません。

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