幼い頃、クリスマスは特別な行事であり、シーズンだった。自宅にツリーを出して飾るだけで、とてもワクワクした気持ちになった。町も独特な雰囲気で盛り上がり、クリスマス前後は、まるで夢の中にいるような気分だった。
父親がこっそりプレゼントを用意し、サンタクロースが本当に外から届けたように、演出をしてくれた。クリスマス仕様の包装紙を開けて、中身を見るときの歓喜と興奮に満ちた気分は、今でもリアルに思い出せる。
自分の子どもたちが幼い頃も、クリスマスは特別だった。彼らが喜ぶであろうプレゼントを選ぶだけで、ワクワクした気持ちになった。特別な包装紙で包み、イブの夜、彼らが寝入ってから、さも外から届けられたように、目立たない場所に、こっそり置いた。
翌朝、いつもは寝起きが悪い彼らも、この日ばかりは飛び起きて、家中を探し、プレゼントを見つけると、歓声をあげ、顔を上気させてプレゼントを抱えて飛んで来た。彼らの喜ぶ姿を見るのは、この上なく嬉しいことであり、心からの幸せを感じた。
しかし、社会や経済の裏側を見ることにより、クリスマスが何であるかを知った。その結果、いつの間にか、かつてのようなワクワクした気持ちを感じることがなくなってしまった。むしろ経済に踊らされ、熱狂する世間の様子を見て、嫌悪の気持ちさえ抱くようになった。
でも、今年は少し違った。昨年までとは違う自分になり、大切な人とクリスマスを過ごせることに、心からの感謝と歓喜の気持ちがわき、久しぶりにワクワクした気分になった。
童心に返って素直に楽しみたくなり、柄にもなく、小さなクリスマスケーキを買って帰った。寄り添う二本の小さなろうそくが、二人の姿にダブって見えた。