今年になって、店の看板が気になり始めた。この看板、二人がかりでないと持てないくらいの重量がある。万が一、落下したら大事故である。そのことが、なぜか頻繁に頭をよぎるのだ。今度、大きな地震や台風の襲撃があれば、現実になりかねない…
2月になり、どうしても気になるので、この看板の制作と取り付けをしてくれた工務店に連絡した。すぐに駆けつけて、状況を確認してくれた。「よく連絡してくれはった…」と工務店の社長は私に感謝してくれた。
頑丈に取り付けてはいたものの、長年の風雨により、予想以上に木材の劣化が進んでいたようだ。取り付け金具が効いてない箇所があり、いつ落ちてもおかしくない状態だったようである。とりあえずは、すぐに看板を取り外すことにした。
「看板を下ろすなんて、縁起でもないな…」
その時は、そう話しながら、高校時代の友人でもある工務店の社長と笑い合っていた。そして、看板を持ち帰ってもらい、今後どうするか、つまり朽ちた部分をカットする等の加工をするのか、看板を新調するのか等、検討することにした。
その後、3月になって新型コロナウィルス騒動が本格化し、セッション予約のキャンセルが相次ぎ、問い合わせや予約の電話やメールも激減した。4月の非常事態宣言後は、さらにその傾向に拍車がかかった。来客ゼロの日が目立つようになってきた。
先日、こんな時期にも関わらず、変わらずに通い続けてくださる、あるお客さま(60代の女性)が「月に1回、先生にみてもらうことが、私には必要不可欠なことだから…」とおっしゃってくださった。その時にハッと気付き、そして決断した。
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心身楽々堂は、本年5月末をもって、現在の店舗を閉鎖し、6月から新しい拠点で活動を開始いたします。真実と真理を追究し続け、本当に私たちを必要としてくださる方に出逢い、そのご縁を大切にし、一生涯のお付き合いをする、そんな“あり方”を磨き上げて参りたいと考えています。
経営者は、常に自分の志や想いに向き合い、目指す地平に近づいているかどうかを確認すると同時に、危機を察知し、対処せねばなりません。そのために、決断と行動をし続けることが必要であり、時としてそれは大きな痛みを伴います。
12年間にわたり育てて来た大切な店を手放すのは、断腸の思いです。しかし、これは決して負け惜しみではなく、新たなステージへ進む大きなチャンスであると考えています。今回、看板とコロナ騒動が、背中を押してくれたと感謝しております。
詳細は、改めてお知らせいたしますが、私自身は今、とてもワクワクした気持ちでおります。学生時代はデザインを学び、サラリーマン時代は一貫して企画開発の仕事に携わっていたせいか、新たな取り組みに大いに血が騒ぐのでしょう。
本投稿に、私の事業の象徴であり、私を支え続けてくれた、愛すべき看板の遍歴写真を添付しておきます。ただ、見上げないと見えない位置に取り付けられていることもあり、その存在に気付かない人も多かったようです(笑)。
5〜6年前の撮影だろうか。両端からスポットライトで看板を照らす夜景を眺めるのが、好きだった。
2008年11月の撮影。開業したてで、ピカピカである。
友人(工務店の社長)がたくさんの木を選んでくれて、その中から「これ!」という1枚を選んだ。