ひとり飯の夜に

私について

昨夜、一人で晩飯を食べることになり、さて、どうしようか、と。休日ゆえ道路は車が多く、渋滞は避けたいので、歩いていくことに。徒歩圏内にあるのは、寿司屋、うどん屋、お好み焼き屋、牛丼屋、洋食屋、焼肉屋などなど…あ、そうだ。焼き鳥屋があった。
 
というわけで、前から気になっていた、小さな焼き鳥屋ののれんをくぐった。17時過ぎだったので、まだ客は誰もおらず、奥から「いらっしゃい」と店の大将が出てきた。白髪で眼鏡をかけた、品の良さそうな老齢の男性だった。「当たりだ」と直感した。
 
カウンター越しに、大将と会話する。開業して、30数年になるそうだ。年齢を聞いて、驚いた。外見や物腰からは、せいぜい70歳前後と想像していたが、なんと81歳とのこと。お聞きすると、店を開業する前は、大手企業に勤務していたそうだ。
 
自分が好きな仕事で、定年後もずっと続けられる仕事を探して、焼き鳥屋を選んだそうだ。それが48歳の時であったそうで、偶然にも、私が脱サラ起業した年齢と同じであった。そのせいか、とても親近感を覚えた。
 
コロナによる非常事態宣言が出された時は、店は1ヶ月お休みをしたそうだ。「その時は、孫と一緒に、店の壁を塗り替えをしたんです」と、嬉しそうに語っておられた。そして「カミさんはコロナを気にするけど、ワタシはそんなに気にしてません」と。
 
「これまでインフルエンザにかかったこともないし。もののない時代に、粗食で育ったせいかな」と笑っておられた。現在は、17〜24時の開店を続けておられるそうである。以前は土日はすごく忙しかったのに、現在はとても空いているそうである。
 
自分は現場を離れ、雇われ店長やアルバイトに店や厨房を任せ、ビジネス拡大に走る店舗オーナーが多いが、私はなるべくそういう店は利用しない。オーナーが現場に立つ小さな店を好むし、できるだけそういう店を利用するようにしている。
 
さて、今夜は、いつもお世話になっているそのような店(オーナーが現場に立つ小さな店)で、私の還暦を祝う会食を企画してくれているようである。誰が来るのかは知らされていないが、きっと久しぶりの人もいるだろうし、とても楽しみにしている。

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