確か今から約25年前、1995年頃だったと思う。アメリカの超人気経営コンサルタント、トム・ピーターズ氏による著書「経営破壊(原題 Clazy Times Call for Crazy Organizations)」は、まだ会社員であった私に、大きな衝撃と気付きを与えてくれた。
この本には、アメリカで起こりつつある“新しいビジネスのあり方”や“新しい働き方”が満載されており、どうしようもなく胸がワクワクした。特に私に響いたポイントは、1)偏執狂と呼ばれるほどの専門性、2)世界を覆う縦横無尽のネットワーク、3)ビジネスマンの個人起業家化である。
しかし、そのいずれも、当時、私が所属する企業では、実現はほぼ不可能なものばかりであった。大企業で生き残るための最優先課題は「リスク回避」であり、何かひとつ、新しいことに挑戦しようとしても、本来の仕事以外の準備、根回し、手続きなどが膨大に発生してしまうからである。
ただ、その後に同じ企業の中に新設された最先端部門へ抜擢していただき、願いがかなうかもしれないと希望を持ったが、無理だった。後にわかったことだが、私は宿命的に、人真似や指示命令を嫌悪し、自分流を貫きたい素養を持っているそうであり、大企業の中で立ち回るのは、所詮無理だったのである。
いずれにせよ、私がやがて会社を辞め、起業を目指すようになったのは、この本の影響が多大である。中でも、会社員時代に、大の苦手であったパソコンを自分で購入し、苦労をしながらネットワークに接続し、人並みに使えるようになったのは、全くこの本のおかげである。
「経営破壊」の影響は、整体師という前時代的な職人となっても及び続けており、特に現在は、昨年あたりから破竹の勢いで利用者が激増した、映像と音声を使ったオンラインコミュニケーションシステムを使い、自分たちの思想や実践を伝えることに注力をしている。