コロナ禍を機に、私が実践提唱する整体の本懐は、「野性を取り戻す」ことであると気付かせていただきました。違う表現をすれば「自然な身心の営み（機能）を取り戻す」ことです。それは「人間らしさを取り戻す」ことであり、「本当の自分を生きる」ことです。さらに申せば、「無限ともいえる可能性を開く」ことでもあると考えています。痛みや症状、悩みや苦しみの消失は、その結果として必然的に生じる事象の一つに過ぎないと考えています。
野性を取り戻すための5つの学び
野性を取り戻すとは、実践、つまり施術や対話を行うことにより、１）感性を目覚めさせる、２）知性を磨く、３）理性を鍛える、４）霊性を高める、５）個性を輝かせること。それを絶え間なく、日常的に継続することにより、実現が可能です。私自身、日本の教育（狂育）制度に則り、どっぷりと洗脳と依存に浸りきっていましたが、それまで縁も関心もなかった整体の道へ導かれ、野性を取り戻す手がかりを得ました。整体塾門下生も、同様の者が多いです。
１）感性を目覚めさせる
誤解を恐れずに申し上げると、整体の極意とは「身体と心の触れ合いを愉しむ」ことだと考えています。施術や対話という、人と人との触れ合いや相手に対する思いやりが、お互いの気付きを誘発し、変容や成長につながっていく。その中で、自然に、人間が本来備える感性が目覚めていくのです。整体塾では、これを学びの基本中の基本とし、「感じる力」を育てるよう指導しております。
２）知性を磨く
何事も、全ては「知る」ことから始まります。知った上で「現実」「事実」「真実」を峻別する力を養うことが、知性を磨くということです。現在社会は、異常を極めています。狂っているとすら言えるでしょう。その中で、自分や大切な人の健康と幸せを守りながら、生き抜くためには、知性を磨くことが必要不可欠です。整体塾では「考える力」を育てるよう指導しております。
３）理性を鍛える
感性と知性によって得たものを整理し、人に伝えられるほどに筋道を立てて考え、伝達する能力を養うこと。整体によるセッション（＝悩みや苦しみを持つ人と、施術や対話をする時間を共にすること）を行うことは、その格好の場となります。特に、整体で対価を得ることを目指すならば、必要不可欠のことであり、整体塾では「伝える力」を育てるよう指導しております。
４）霊性を高める
霊性とは「お天道様に恥じない生き方をすること」、その積み重ねによって高められていくものだと思います。お天道様に恥じない生き方とは、日常を「仁（＝慈愛、思いやりの心）」、「義（＝嘘をつかない、誠実さ、正しさを求める心）」、「礼（＝謙虚さ、相手を敬う心）」、「知（＝知識習得や勉学に励む心）」をもって過ごし、人間的成長を遂げていくことにより「信（＝自信、人からの信頼）」を得て、よい人間関係を育むことです。
５）個性を輝かせる
人は、一人ひとり異なる存在であり、誰もが唯一無二のかけがえのない存在です。それぞれに異なる才能や資質を備え、異なる使命や役割を持って、この世に命を授かります。上記１）〜４）の結果、人は自分の存在の本質が魂であることに気付き、自分に与えられた恵みの豊かさに感謝し、個性を輝かせ、幸せに生きるようになります。そして、それが万物の霊長としての真の野性の発揮ではないかと考えています。
危機的状況を乗り越えるために
さて、今、日本はかつてないほど危機的な状況です。しかも、それを感知している人間は、圧倒的に少数です。サラリーマンや公務員は言うに及ばず、政治家も、事業家も、経営者も、ほぼ全ての人間が野性を喪失し、家畜のように生きています。それを否定はしませんが、野性を取り戻し、自由に生きたい人間の邪魔をしないで欲しいと思います。いずれは、全く別の社会システムで生きる、そんな選択肢もあると考えています。
残念なのは、野性に目覚めようとしているのに、家畜の群れから出る手段と勇気を持てない人たちが、とても多いことです。家畜でいたい人は、家畜のままでいい。しかし、群れから出たいなら、リスクを負ってでも行動するしかないのです。本当の意味での行動とは、セミナーで学ぶことではありません。デモや署名活動に参加することでもありません。もちろん、SNSで情報を拡散することでもありません。行動するとは、自分が変わること。つまり、生き方、働き方を変えることです。
偉そうなことを書いていますが、私は決して出来た人間ではありません。年齢だけは還暦に達しましたが、お恥ずかしいくらいに欠点だらけ、至らないところだらけです。でも、そんな私だからこそ、お伝えできることがある。そして、それによって、共に成長をさせていただくことができる。そのように考え、共に整体を学ぶ場（講座、道場）を設け、運営をしております。行動する勇気ある人との出会いを、心から願っています。
