整体的「癒し」考

学びの分かち合い

私は「人が人を癒すことはできない」と考えています。身体であれ心であれ、癒しは本人の内的な発動発現により生じるものであり、他者はそのきっかけを作ったり、支えやお手伝いができるに過ぎないと考えています。

本来、誰もが、自分で自分を癒す力を持っています。身体にも心にも、自然治癒力が備わっているのです。しかし、現代に生きる私たちはあまりにも自然から遠ざかってしまいました。なので、自分で自分を癒すことが、とても難しくなっていると思います。

それゆえに、他者の助けが必要な場合が多いようです。しかし、しばしば癒しと混同される「慰安」にはまり、依存している人がとても多いと感じます。また情報に惑わされ、あれこれ手を出し過ぎて、却って癒しから遠ざかる人もよく見かけます。

私は、癒しを次のように定義しています。

「癒しとは、真実を知り、真理を理解することによって得られる、内なる気付きに根差した、心の平安と命の調和である」

表現を変えれば、身を置いた境遇や環境、自分が直面している状況や状態に左右されず、今生きていることに歓喜と感謝の気持ちを持ち続けること。過去を悔いず、未来を憂えず、ただ今を幸せに生きること。それが、本当の癒しではないかと考えています。

癒しと健康は、ほぼ同義だと考えています。以下に、私が感銘を受け、なおかつ大いに共感した、過去の偉人たちによる健康の定義を引用いたします。私はこのような考えのもと、人と関わり、整体の仕事を究め続けることを心がけております。

「健康は身体だけの問題ではない。健康とは身体と心と魂が大いなる生命とリズムを合わせて自然な表現をしている状態である。真の健康とは内なる生命の調和であり、心の平和と喜びと幸福で成り立っている。健康とは体調がよいだけのことではなく、魂が心と身体を通して自由に現れる道を見つけた結果である。健康な人は平和と幸福の光を放っているので、無意識のうちに周りのすべての人を幸福で満たされた気持ちにすることができる」
———— ランドルフ・ストーン

「すべての健康、すべての様々な自然治癒力は、内在する波動を変えることであり、それは身体に生ける組織の中にある聖なるものを創造的エネルギーと同調させることによる。これのみが治癒である。薬を使っても、外科手術を行っても、その他の方法を使ったとしても、生命ある細胞の力の微粒子構造が、そこに内在する霊的資質の波動に同調することによって治癒しているのである」
———— エドガー・ケイシー

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