就活狂想曲

社会について

このような動画を見つけました。2012年に、東京芸術大学の学生であった吉田まほさんという女性が作った作品です。非常に秀逸ですので、ぜひご覧ください。
 


 
“就活”とは、就職活動の略です。この動画ほど極端ではありませんが、約30年前、私も同様の経験をしました。大学4回生の時、なかなか就職が決まらず、暗澹たる気持ちで過ごした記憶があります。「会社を決める=人生を決める」、強くそう思い込んでいました。
 
真面目に勉強して、テストでいい点を取り、いい大学へ入り、大きな企業へ勤めること。それが、幸せな人生だと信じていました。というよりも、それ以外の選択肢は持っていませんでした。
 
人生を決めるために、みな同じようなリクルートスーツを着て、身なりを整える。面接では自分を偽り、与えられた模範的回答を述べる。自分が大学で勉強や研究したことは役に立ちそうもない会社に、入社を志望する…
 
よく考えてみると、“就活”は不気味で異常な習慣です。ネットで読んだ限りですが、日本以外にこのような習慣をもつ国は見当たらないようです。不気味さ、異常さについて何も感じず、言及もしないばかりか、さらにそれを煽る社会風潮に、さらなる不気味さと異常性を感じます。
 
この動画は、その不気味さ、異常さを非常にリアルに表現しています。おそらく作者の吉田さんは、ご自身の経験をもとに作られたのだと拝察をいたします。
 
しかし、なにゆえ、このような異常な習慣が生まれたのでしょうか。そして、私たちの子孫はこれからも、このような不気味で異常な国の中で生きていくのでしょうか。
 
どこかの会社に雇われるのは、いい。できる限り安全に社会の荒波にもまれ、人として成長するには、よい選択肢だと思います。しかし、何があっても自分を見失わないで欲しい。自ら選択肢を狭め、これしか生きる道がないなどとは、間違っても思わないで欲しい。
 
実は、私が50歳手前で脱サラして自営を始めたのは、自分のためだけではありませんでした。自分の息子たちに、サラリーマン以外の生き方があることを伝えたかったのです。
 
50歳手前で、ゼロから始めても、何とかなる。社会的地位もないし、泥臭く、カッコ悪い生き方かもしれない。しかし、その気になれば、身ひとつで生きていける。
 
私は、それを息子たちに示したかったのです。
 
彼らは、それを理解できないかもしれない。大きな企業で、安定して給料をもらい、そこそこで暮らすことを選ぶかもしれない。自分の人生だから、自分で決めたらいい。
 
しかし、日本中がそのような習慣に甘んじた結果、社会はどうなるか。私は、それをしっかりと見据えたいと思う。そして、その結果が惨憺たるものだということも、わかってきている。だから、全力でそれを阻止したいと思う。
 
伝えたい相手は、実の息子たちだけではない。また、息子世代の人間だけでもない。すべての日本人の男に、私は伝えたいと思う。
 
自分次第で、いくらでも人生は切り拓けることを。自分の人生を切り拓くことは、よりよい社会を切り拓くことにつながることを。子どもたちの、子どもたちの、子どもたちのために、ぜひそうすべきであることを。問題を先延ばしにせず、いま行動することを。
 
就活の動画でしたが、ちょっと熱くなってしまいました(笑)

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